織姫ちゃんがお盆を置いたテーブルで四人、向かい合って座る。会長はいちご、日番谷隊長は宇治抹茶、弓親さんはレモンでわたしはブルーハワイである。四人でかき氷を食べながら話す中で、日番谷は暑いのが苦手なのでみんなとは合流せず、海の家で使う氷を出す手伝いをしていることを知った。一応下は黒の海パンをはいてはいるが上の黄緑のタンクトップを脱ぐ気はなさそうだ。海の家のみんなも水着に上着を羽織っているスタイルなので屋内にいるときはそれが普通らしい。会長だけ水着のままだけど、小さい子供なので特に浮いてる感じはしない。

言ってなかったかもしれないけど、会長はビキニのピンクの水着だ。同じような形の水着には清音さんとルキアちゃんがいて、ルキアちゃんは先ほども申し上げた通り朽木隊長の指示でピンクのパーカーを羽織っている。おそらく一番スタンダードなのは伊勢副会長なのかな?乱菊さんと夜一さんと織姫ちゃんのは胸の大きさもあってなかなか際どいと思う。織姫ちゃん以外みなさん惜しげもなく露出してらっしゃるのでスタイルがいいとこういうところでも得をするんだなあとしみじみ思う。ワンピースタイプの水着は砕蜂隊長とネムさんと卯ノ花理事長と虎徹副隊長だけど、ラメラメのダサい水着の砕蜂隊長とスク水と呼ばれるらしいネムさんは置いといて四番隊の際どすぎる水着は刺激が強すぎるんじゃないかと思うよ。
という話をしたら弓親さんはああ…と白けた目をしたあと、少しだけニヤッと笑った。


「檜佐木副隊長なんかがあの場にいたら大変だったかもね」
「あー檜佐木副隊長…誘ってあげればよかったですね」


想像したら確かにニヤッとしてしまう。檜佐木副隊長が乱菊さんに憧れているというのは一部の死神の常識である。もっとも彼に限らず、乱菊さんの分け隔てない豪快な性格と綺麗な顔とボンキュッボンな色気たっぷりのスタイルは大勢の男性死神の憧れの的である。今日来てる人たちは例外中の例外といえるだろう。しかし残念なことに、乱菊さんの意中の人はもう尸魂界にはいないのだが。多分。市丸隊長なんだよね?よく知らないのだけど。


「ああ!隊長!さぼり!」
「…噂をすれば何とやらだな」


振り返ってみると海の家の入り口に乱菊さんの姿があった。「なになに?何の話?」呆れる日番谷隊長に目を輝かせる乱菊さんは畳へ上がり、わたしたちのテーブルに座り込んだ。


「おまえらの水着が過激すぎるってが」
「そお?ていうか言いたかったんだけどの方こそ地味すぎない?せめておへそは出しなさいよね〜」
「つっつかんでくださいー…」


つんつんとお腹をつついてくる乱菊さんから逃れようと横にずれると隣に座る弓親さんにぶつかった。


「ねえ弓親〜どう思う?」
「…にしてはまともなセンスだと思ったけど」


お。特に何か理由があって選んだのではないのだけど弓親さんには好評らしい。セパレートだけどお腹まで隠れるピンクの水着に、ボトムの上から紺のスカートをはいている。女性死神の中ではもっとも露出の少ないデザインである。何度も言うが特に何か狙ったわけではなく、胸のところがリボンのようになっていて真ん中がきゅっとすぼまってるのが可愛いと思っただけである。


「なによ弓親あ〜あたしたちみたいなセクシー路線で行ってほしかったんじゃないの〜?」
「乱菊さんたちのはどっちかっていうと視覚の暴力ってやつでしょ。というかそもそもには無理だし」


どういう意味だ綾瀬川。ギロッと睨みつけてやるもそんなのお構いなしといった風にかき氷を食べていてさらにイラッときたけれど、「まあ、あんたにはこれくらいが丁度いいのかもね〜?」ボスッと乱菊さんにフードを被せられてしまい追撃は叶わなかった。


「上着まで貸しちゃうんだもんねえ」
「…何が言いたいのかな」
「べつに〜?あ、織姫ーあたしも何か食べたーい!アイスとかない?」


弓親さんをかわし織姫ちゃんのいる厨房へ駆けて行った乱菊さん。隣の弓親さんに攻撃する気はもう失せ、向かいの二人に目を向ける。白けた面の日番谷隊長はまるで厄介ごとには首を突っ込まんとの如く黙々と宇治抹茶かき氷を食べてるし、すでに食べ終えた会長は真っ赤な舌を出して見て見てと日番谷隊長にせがんでいた。小さい二人の可愛い光景である。


「ああそういえば、浮竹隊長の調子戻ってきたから何か始めるらしいわよ」


こちらに戻ってきた乱菊さんはバニラアイスを手に持ちそう言った。それを早く教えてくださいよ。


top|42|